「時間ができたら書こう」の"時間"は、いつまでも来ません 経営者のための発信コラム

「時間ができたら書こう」の"時間"は、いつまでも来ません

2026-09-16|松井祐太(プロフィール)

書こうとは思っているんです。ネタもある。ただ、今週は打ち合わせが詰まっていて、来週は決算の資料があって、そのあとは採用の面接が入っていて——気づいたら、前回書いてから3か月経っている。

これ、意志が弱いからではありません。順番が回ってこない仕組みになっているだけです。

発信は「緊急ではないが、重要なこと」に入っている

先日、経営者の方が登壇する会に参加してきました。お二人とも、途中で同じ話をされていました。経営者は「緊急ではないが重要なこと」に時間を使わないといけない、と。

仕事は、緊急かどうかと、重要かどうかの2つで4つに分けられます。このうち、緊急ではないけれど重要なことが、いちばん後回しになります。

緊急ではないが重要なこと(右上)=人を育てる・仕組みを作る・発信する
緊急ではないが重要なこと(右上)=人を育てる・仕組みを作る・発信する

会社でいえば、人を育てること、仕組みを作ること、そして発信することです。どれも、やらなくても今日は困りません。困らないから、明日に回ります。

1
緊急なものは、毎日補充される

クレーム、見積り、資金繰り、体調を崩した社員。今日中に片づけないといけないことは、放っておいても向こうからやって来ます。だから、その日の時間は必ず埋まります

つまり「時間ができたら」を待っていると、その時間は構造的に来ません。空いた瞬間に、緊急なほうが先に入るからです。

順番を待つのではなく、先に埋める

では登壇されたお二人が何をしたかというと、自分が抱えていた仕事を人に渡していました。

ひとりは、社員全員に直接関わるのをやめて、幹部に任せる形に変えたそうです。もうひとりも、自分の強みが出る場所だけに絞って、それ以外は任せるようにしたと話していました。

これ、「余裕ができたから任せた」のではないと思います。順番が逆で、任せないと右上の枠に入れないから、先に手放したんだと思います。

2
時間は「空ける」ものではなく「先に取る」もの

残った時間でやろうとすると、残りません。予定表に先に入れて、そこに緊急を入れないと決めるほうが早い

「書く時間」より重いのは、書き始めるまでの助走

もうひとつ、正直に書いておきます。

このコラムも、12日間止まりました。 毎日1本出すと決めていたのに、9月4日を最後に更新が途切れていました。その間、忙しかったのは事実ですが、書く時間が1時間も取れなかったかというと、そんなことはありません。

止まっていたのは、書く工程ではありませんでした。「今日は何を書くか」を決める助走のほうです。

これが重い。ネタを探して、切り口を考えて、書き出しを決める。ここまでで力を使い果たすので、忙しい日はそもそも入口に立てない。書く時間が無いのではなく、入口が遠いんです。

そしてもうひとつ、止まってみて分かったことがあります。一度抜けると、戻すのが想像以上に大変だということです。

止まるきっかけ自体は、たいてい大したことではありません。忙しい週があった。別のことに気を取られていた。その程度です。ただ、いったん習慣の外に出てしまうと、戻るときに「もう一度始める」ぶんの力が要ります。続けている間は、要らなかった力です。

だから、空いた日数が長いほど再開が重くなります。3日空けば3日ぶん、2週間空けば2週間ぶん、入口が遠くなっていく。止まった原因よりも、止まったあとに増えるこの重さのほうが厄介だと思います。

重いのは書く工程ではなく、その前の助走。止まると、この助走がさらに伸びる
重いのは書く工程ではなく、その前の助走。止まると、この助走がさらに伸びる

ちなみに、この12日を終わらせたきっかけは大したことではありませんでした。前日に聞いた講演の録音を開いて、「この話から1本書ける」と思っただけです。素材は、もともと手元にありました。

後回しを止める3つの手当て

①素材を「探す」をやめて「拾う」に変える

打ち合わせ、現場、人から聞いた話。1日1つメモしておけば、書く日にネタを探す工程が消えます

②書く日を先に決めて、そこに緊急を入れない

「空いたら書く」をやめます。緊急は必ず来るので、来る前に枠を取っておくほうが確実です

③完成させようとしない

1本ぶん書き切ろうとすると腰が重くなります。話した内容をそのまま残しておいて、形にするのは後からでも間に合います

どれも精神論ではなく、入口を近づける手当てです。やる気を上げるのではなく、やり始めるまでの距離を縮める。続いている人は、たいていここを短くしています。

最後に

発信が後回しになるのは、順位が低いからではありません。期限が無いからです。期限が無いものは、期限があるものに毎回負けます。それだけのことです。

だから、もし前回の投稿から数か月空いていても、落ち込まなくていいと思います。構造的にそうなります。 変えるべきは気合いではなく、順番の決め方のほうです。

今週、どこか30分だけ、緊急ではないほうに時間を渡してみてください。それが人を育てる時間でも、仕組みを作る時間でも、書く時間でも構いません。緊急ではないが重要なことは、意識して入れないと、一生入ってきません。

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松井祐太
松井祐太株式会社Four Aces 代表

映像制作会社を経営しながら、AIで経営者の発信を仕組みにする「Tanemi」をつくっています。たとえばサロンを選ぶとき、どんな人がどんな想いで向き合ってくれるかは、ポータルサイトの条件だけでは伝わりませんよね。発信は、その「あなた」を届ける場所です。だから、お客様には「この人にお願いしたい」と選ばれます。採用も同じで、まだ発信していない人が自分の魅力を言葉にできたら——業界やエリアを越えて、その人に本当に合う仲間や従業員との出会いが増えるはずです。発信を通じて、そんな出会いと、幸せになる人を増やしたい。人生が輝くきっかけを、つくり続けたいと思っています。

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