経営者のための発信コラム
「時間ができたら書こう」の"時間"は、いつまでも来ません
書こうとは思っているんです。ネタもある。ただ、今週は打ち合わせが詰まっていて、来週は決算の資料があって、そのあとは採用の面接が入っていて——気づいたら、前回書いてから3か月経っている。
これ、意志が弱いからではありません。順番が回ってこない仕組みになっているだけです。
発信は「緊急ではないが、重要なこと」に入っている
先日、経営者の方が登壇する会に参加してきました。お二人とも、途中で同じ話をされていました。経営者は「緊急ではないが重要なこと」に時間を使わないといけない、と。
仕事は、緊急かどうかと、重要かどうかの2つで4つに分けられます。このうち、緊急ではないけれど重要なことが、いちばん後回しになります。
会社でいえば、人を育てること、仕組みを作ること、そして発信することです。どれも、やらなくても今日は困りません。困らないから、明日に回ります。
クレーム、見積り、資金繰り、体調を崩した社員。今日中に片づけないといけないことは、放っておいても向こうからやって来ます。だから、その日の時間は必ず埋まります
つまり「時間ができたら」を待っていると、その時間は構造的に来ません。空いた瞬間に、緊急なほうが先に入るからです。
順番を待つのではなく、先に埋める
では登壇されたお二人が何をしたかというと、自分が抱えていた仕事を人に渡していました。
ひとりは、社員全員に直接関わるのをやめて、幹部に任せる形に変えたそうです。もうひとりも、自分の強みが出る場所だけに絞って、それ以外は任せるようにしたと話していました。
これ、「余裕ができたから任せた」のではないと思います。順番が逆で、任せないと右上の枠に入れないから、先に手放したんだと思います。
残った時間でやろうとすると、残りません。予定表に先に入れて、そこに緊急を入れないと決めるほうが早い
「書く時間」より重いのは、書き始めるまでの助走
もうひとつ、正直に書いておきます。
このコラムも、12日間止まりました。 毎日1本出すと決めていたのに、9月4日を最後に更新が途切れていました。その間、忙しかったのは事実ですが、書く時間が1時間も取れなかったかというと、そんなことはありません。
止まっていたのは、書く工程ではありませんでした。「今日は何を書くか」を決める助走のほうです。
これが重い。ネタを探して、切り口を考えて、書き出しを決める。ここまでで力を使い果たすので、忙しい日はそもそも入口に立てない。書く時間が無いのではなく、入口が遠いんです。
そしてもうひとつ、止まってみて分かったことがあります。一度抜けると、戻すのが想像以上に大変だということです。
止まるきっかけ自体は、たいてい大したことではありません。忙しい週があった。別のことに気を取られていた。その程度です。ただ、いったん習慣の外に出てしまうと、戻るときに「もう一度始める」ぶんの力が要ります。続けている間は、要らなかった力です。
だから、空いた日数が長いほど再開が重くなります。3日空けば3日ぶん、2週間空けば2週間ぶん、入口が遠くなっていく。止まった原因よりも、止まったあとに増えるこの重さのほうが厄介だと思います。
ちなみに、この12日を終わらせたきっかけは大したことではありませんでした。前日に聞いた講演の録音を開いて、「この話から1本書ける」と思っただけです。素材は、もともと手元にありました。
後回しを止める3つの手当て
打ち合わせ、現場、人から聞いた話。1日1つメモしておけば、書く日にネタを探す工程が消えます
「空いたら書く」をやめます。緊急は必ず来るので、来る前に枠を取っておくほうが確実です
1本ぶん書き切ろうとすると腰が重くなります。話した内容をそのまま残しておいて、形にするのは後からでも間に合います
どれも精神論ではなく、入口を近づける手当てです。やる気を上げるのではなく、やり始めるまでの距離を縮める。続いている人は、たいていここを短くしています。
最後に
発信が後回しになるのは、順位が低いからではありません。期限が無いからです。期限が無いものは、期限があるものに毎回負けます。それだけのことです。
だから、もし前回の投稿から数か月空いていても、落ち込まなくていいと思います。構造的にそうなります。 変えるべきは気合いではなく、順番の決め方のほうです。
今週、どこか30分だけ、緊急ではないほうに時間を渡してみてください。それが人を育てる時間でも、仕組みを作る時間でも、書く時間でも構いません。緊急ではないが重要なことは、意識して入れないと、一生入ってきません。
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