経営者のための発信コラム
「うまく言えるようになってから発信しよう」は、順番が逆かもしれません
考えていることはある。仕事へのこだわりも、お客さんに伝えたいことも、頭の中にはちゃんとある。
でも、いざ話そうとするとうまく言葉にならない。書こうとすると、もっと出てこない。
だから発信は、もう少し頭の中を整理してからにしよう。そう思って、そのままになっていないでしょうか。
「なんでそんなに言語化がうまいんですか」と聞かれました
先日、福岡で不動産の仕事をされている方と、1対1でお話しする機会がありました。発信がなぜ必要なのか、という話をひととおりしたあと、最後に聞かれたのがこの質問です。
「なんでそんなに言語化がうまいんですか」
正直に言うと、その場ですぐには答えられませんでした。最初に出てきたのは「考えてるからですかね」という、ありきたりな言葉です。
ただ、話しているうちに、自分でも気づいたことがありました。考えているだけなら、たぶん今のようには話せていない。
言葉は、頭の中では整いません
私がその場で答えたのは、こういうことです。
出しているから、です。
ブログを書く。人前で話す。私は所属している経営者の交流会で、短い時間で学びを共有する役目をよく担当しています。話したあとに「あそこ、すごく良かったです」と言われる部分がある。逆に、話していて自分で「なんか違うな」と感じる部分もある。
その「なんか違うな」が、まだ言葉になっていない場所です。
頭の中で考えているだけのときは、この違和感に出会えません。頭の中では、どの考えもそれなりに筋が通って見えるからです。口に出して、相手の顔を見て、はじめて「ここはまだ伝わる形になっていない」と分かります。
話していて引っかかる場所が、まだ言葉になっていない場所です。考えているだけでは、その場所が見つかりません
言語化がうまく見える人は、最初から整った言葉を持っているわけではないと思います。出して、ずれて、直してを、人より多く回しているだけです。回した回数ぶん、「こう言えば伝わる」という感覚が手元に溜まっていきます。
「整理してから」だと、いつまでも出せない理由
ここで、冒頭の「もう少し整理してから」に戻ります。
この順番だと、困ったことが起きます。整理するための材料は、出したあとにしか手に入らないからです。
どこが伝わって、どこが伝わらなかったのか。どの言い方で相手がうなずいたのか。それが分からないまま頭の中で整理しても、同じところをぐるぐる回るだけになります。整理が終わる日は、なかなか来ません。
言葉を整える材料は、相手の反応です。出さないと、その材料が一つも届きません
思い当たる経験は、たぶん誰にでもあります。同じ説明を何度もしているうちに、だんだん短く、分かりやすくなっていった。最初の1回目から上手に話せた人は、あまりいないはずです。
最初の1本は、下手でかまわない
だから、発信の最初の1本は、うまく言えていなくてかまいません。むしろうまく言えていない1本を出すことが、言葉を整える一歩目になります。
出してみて、反応を見る。反応が無くても、読み返して自分で引っかかる場所が見つかります。そこを直して、また出す。
完成させてから出すのではなく、出してから直すつもりで
そこが、次に言葉にする場所です
とはいえ、何を書けばいいのかも分からない、という方もいると思います。自分のことを自分で言葉にするのは、そもそも難しいものです。その理由は「うちには書くことがない」と言う会社ほど、書くことがあるに書きました。私たちは質問に答えていくだけで1本できる仕組みも用意していて、最初の1本は無料で作れます。問われて答えるのも、立派な「出す」です。
最後に
もし今、「もう少し整理してから発信しよう」と思っているなら、その整理は、たぶん出したあとにしか進みません。
うまく言える人は、うまく言えるようになってから話し始めたわけではない。話しているうちに、うまく言えるようになった人です。
あなたの頭の中にある考えも、一度外に出してみると、言葉のほうから整い始めるかもしれません。
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