司法書士が「相続の交通整理役」である理由
「何からすればいいか」の前に、もっと大切なことがある
相続のご相談でもっとも多く聞く言葉は、「何からどうしたらいいかわからなくて」です。
確かに、不動産の名義変更、預貯金の解約手続き、相続税の申告……やるべき手続きは多岐にわたります。でも長年この仕事をしていて気づいていることがあります。手続きそのものより先に、越えなければならない山がある、ということです。
それは「家族の間でどう話し合うか」という問題です。

手続きの壁より、言葉にしにくい壁がある
相続案件には大きく分けて2つのパターンがあります。ひとつは、相続人の間で話し合いがすでにまとまっていて、代理人として粛々と手続きを進めるケース。もうひとつは、「どう話を進めればいいかわからない」と、家族間の調整ごと相談に来られるケースです。
後者は少数ではありません。むしろ、ご連絡をいただく相談の中に、後者が確実に混じっている。そしてこちらのほうが、難易度という意味では一筋縄ではいかないことが多いです。
なぜ家族の話し合いはこれほど難しいのか。金額の大小より、「身内だから言いづらい」という空気の問題が根っこにあると、私自身は思っています。
「変な気の使い合い」を経験したから、見えること
これは、私自身の話でもあります。
母を早くに亡くし、親族で遺産の話をしなければならない場面を経験しました。そのとき感じたのは、妙な気の遣い合いと、言いたいことを言えないもどかしさでした。お互いが気を使っているはずなのに、なぜか会話が噛み合わない。感情が先に立って、論点が定まらない。そういう、家族だからこそ生まれる「目に見えない難しさ」です。
専門家として業務を請け負うようになってから、その感覚はむしろ強くなりました。相談者の方々が感じているもどかしさの正体を、私は知っている、と。
中立の第三者が入ると、何が変わるのか
家族だけで話し合うと、どうしても遠慮と感情が混在します。何かを言えば「あの人は欲が深い」と見られる気がする。黙っていれば「不満を飲み込んだまま」になる。その状態では、たとえ話し合いが終わっても後味が残ります。
司法書士が中立の立場で介入することで、起きることがあります。「それを言っていいんだ」という空気が生まれることです。第三者がいることで、発言の責任が分散されるといいますか、誰かがテーブルに置いた言葉を「司法書士さんもそう言っていたから」と受け取れる場面が出てきます。
感情的な対立の仲裁ではなく、言いにくいことの交通整理。それが、この場面での私の役割だと思っています。
相続が終わったとき、何が残るか
相談が終わり、手続きが完了したとき、「ホッとしました」という声をいただくことが多いあります。その言葉の意味を、私はずっと考えています。
手続きが終わった安堵だけではないはずです。家族の間に変なしこりを残さずに済んだ、という安堵でもあると思っています。
そして本当に話し合いがスムーズに進んだとき、相続人の方々の中に少しずつ生まれてくるのが、遺してくれた親への感謝の気持ちです。遺産を「分けるもの」として見ていたところから、「この人が遺してくれたもの」として見えてくる瞬間があります。
相続手続きの完了は、ゴールではなくて、その気持ちに辿り着くまでの道筋なのだと、この仕事をしていて思います。
相続について「何からすればいいかわからない」という段階でも、ご相談をお受けしています。まずは家族の中でどんなことが起きているかを聞かせていただくところから始まります。お気軽にご連絡ください。
※ 実際の無料体験でできあがった記事です(司法書士・お名前と社名は伏せています)。





