経営者のための発信コラム
「いい人がいますよ」では、紹介は運べません
「何かあったら紹介しますね」と言ってもらえる。社交辞令ではなく、本気でそう思ってくれている。関係も悪くない。
それなのに、実際の紹介はあまり来ない。
相手が忘れているのだろうか、と考えてしまいます。ただ、紹介する側に立ってみると、別のことが見えてきます。
紹介は、紹介する側で止まっています
自分が誰かを紹介する場面を想像してみてください。
知り合いに困りごとが出てきた。そういえば、あの人が力になれるかもしれない。ここまでは、すぐ出てきます。
問題はその次です。何と言って紹介するか。
「いい人がいますよ」だけでは、相手は動きません。では何が得意な人なのか、どういう考えで仕事をしているのか、と説明しようとすると、言葉が出てこない。よく知っているはずなのに、人に伝える形になっていないことに気づきます。
そして、たいていの人はそこで一旦持ち帰ります。持ち帰った紹介は、そのまま消えます。
悪気はどこにもありません。紹介したい気持ちもあった。ただ、渡せるものが手元に無かっただけです。
人には輪郭がありません
ここに構造的な難しさがあります。
商品には輪郭があります。名前があって、何をするもので、いくらなのかが決まっている。だから「こういうものがあるよ」で運べます。受け取った人も、自分に要るかどうかを判断できます。
ところが人には輪郭がありません。何でもできると言えばできるし、何が専門かと聞かれると答えが広くなる。紹介しようとした瞬間、言葉に詰まるのはこのためです。
「あの人はいい人だから紹介したい」と思われていても、説明できる形が無ければ運べません。足りないのは信頼ではなく、輪郭のほうです
だから、渡せるものを1つ持っておく
対策は、思っているより単純です。紹介する人が、そのまま相手に送れるものを1つ持っておく。
記事でも、動画でも、1枚の資料でもいい。そこに「何に詳しいのか」「どういう考えで仕事をしているのか」が書いてあれば、紹介する側はそれを1つ送るだけで済みます。言葉を探す必要がなくなる。
受け取った側も変わります。「いい人がいるらしい」ではなく、「こういう考えの人なんだ」と分かった状態で会えます。会う前に、半分終わっているようなものです。
私自身、人と会ったあとに自分の書いたものを送ることがあります。読んでもらうためというより、その人が誰かに話すときに使えるようにという意味です。
全部を説明する必要はありません。1つあれば、紹介する人はそれを送ります
とはいえ、その1本をどう書けばいいか分からない、という方が多いと思います。自分のことは自分でいちばん見えないので、当然です。私たちは質問に答えるだけで1本できる仕組みを用意していて、最初の1本は無料で作れます。自分で書ける方は、もちろんそのほうが早いです。
ただし、順番があります
ここで一つ、勘違いしやすいところがあります。
渡せるものを作れば全部うまくいく、という話ではありません。丸ごと任せる相談は、最後まで「人」で決まります。比べる材料が無い仕事だからです。この話は「顔は広いほうだと思います」——それでも、相談が来ない理由に書きました。
つまり、こういう順番になります。
渡せるものが、入口を運ぶ。人が、最後に選ばれる。
逆は起きません。まだ会ったことのない人が、いきなり「この人に任せたい」となることはないからです。渡せるものは、その手前を担当しています。
渡せるものは広く運ばれるためにあり、人は深く選ばれるためにあります。役割が違うので、一つのもので両方はできません
何を書き、どう続けるかの全体像は経営者の発信 完全ガイドにまとめています。
最後に
もし「紹介しますね」と言われたきり何も起きていないなら、相手を疑う前に、その人の手元に何があるかを考えてみてください。
たぶん、何もありません。あるのは、あなたと話したときの印象だけです。印象は人に渡せません。
渡せるものを、1つ。そこから始めると、止まっていた紹介が動き出すことがあります。
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