「いい人がいますよ」では、紹介は運べません 経営者のための発信コラム

「いい人がいますよ」では、紹介は運べません

2026-09-21|松井祐太(プロフィール)

「何かあったら紹介しますね」と言ってもらえる。社交辞令ではなく、本気でそう思ってくれている。関係も悪くない。

それなのに、実際の紹介はあまり来ない。

相手が忘れているのだろうか、と考えてしまいます。ただ、紹介する側に立ってみると、別のことが見えてきます。

紹介は、紹介する側で止まっています

自分が誰かを紹介する場面を想像してみてください。

知り合いに困りごとが出てきた。そういえば、あの人が力になれるかもしれない。ここまでは、すぐ出てきます。

問題はその次です。何と言って紹介するか。

「いい人がいますよ」だけでは、相手は動きません。では何が得意な人なのか、どういう考えで仕事をしているのか、と説明しようとすると、言葉が出てこない。よく知っているはずなのに、人に伝える形になっていないことに気づきます。

そして、たいていの人はそこで一旦持ち帰ります。持ち帰った紹介は、そのまま消えます。

悪気はどこにもありません。紹介したい気持ちもあった。ただ、渡せるものが手元に無かっただけです。

紹介が止まるのは、紹介する側の手元
紹介が止まるのは、紹介する側の手元

人には輪郭がありません

ここに構造的な難しさがあります。

商品には輪郭があります。名前があって、何をするもので、いくらなのかが決まっている。だから「こういうものがあるよ」で運べます。受け取った人も、自分に要るかどうかを判断できます。

ところが人には輪郭がありません。何でもできると言えばできるし、何が専門かと聞かれると答えが広くなる。紹介しようとした瞬間、言葉に詰まるのはこのためです。

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紹介されないのは、人柄の問題ではない

「あの人はいい人だから紹介したい」と思われていても、説明できる形が無ければ運べません。足りないのは信頼ではなく、輪郭のほうです

だから、渡せるものを1つ持っておく

対策は、思っているより単純です。紹介する人が、そのまま相手に送れるものを1つ持っておく。

記事でも、動画でも、1枚の資料でもいい。そこに「何に詳しいのか」「どういう考えで仕事をしているのか」が書いてあれば、紹介する側はそれを1つ送るだけで済みます。言葉を探す必要がなくなる。

受け取った側も変わります。「いい人がいるらしい」ではなく、「こういう考えの人なんだ」と分かった状態で会えます。会う前に、半分終わっているようなものです。

私自身、人と会ったあとに自分の書いたものを送ることがあります。読んでもらうためというより、その人が誰かに話すときに使えるようにという意味です。

何に詳しい人なのかが伝わるものを、1つ作る

全部を説明する必要はありません。1つあれば、紹介する人はそれを送ります

とはいえ、その1本をどう書けばいいか分からない、という方が多いと思います。自分のことは自分でいちばん見えないので、当然です。私たちは質問に答えるだけで1本できる仕組みを用意していて、最初の1本は無料で作れます。自分で書ける方は、もちろんそのほうが早いです。

ただし、順番があります

ここで一つ、勘違いしやすいところがあります。

渡せるものを作れば全部うまくいく、という話ではありません。丸ごと任せる相談は、最後まで「人」で決まります。比べる材料が無い仕事だからです。この話は「顔は広いほうだと思います」——それでも、相談が来ない理由に書きました。

つまり、こういう順番になります。

渡せるものが、入口を運ぶ。人が、最後に選ばれる。

逆は起きません。まだ会ったことのない人が、いきなり「この人に任せたい」となることはないからです。渡せるものは、その手前を担当しています。

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入口と出口を、一つで済ませようとしない

渡せるものは広く運ばれるためにあり、人は深く選ばれるためにあります。役割が違うので、一つのもので両方はできません

何を書き、どう続けるかの全体像は経営者の発信 完全ガイドにまとめています。


最後に

もし「紹介しますね」と言われたきり何も起きていないなら、相手を疑う前に、その人の手元に何があるかを考えてみてください。

たぶん、何もありません。あるのは、あなたと話したときの印象だけです。印象は人に渡せません。

渡せるものを、1つ。そこから始めると、止まっていた紹介が動き出すことがあります。

松井祐太
松井祐太株式会社Four Aces 代表

映像制作会社を経営しながら、AIで経営者の発信を仕組みにする「Tanemi」をつくっています。たとえばサロンを選ぶとき、どんな人がどんな想いで向き合ってくれるかは、ポータルサイトの条件だけでは伝わりませんよね。発信は、その「あなた」を届ける場所です。だから、お客様には「この人にお願いしたい」と選ばれます。採用も同じで、まだ発信していない人が自分の魅力を言葉にできたら——業界やエリアを越えて、その人に本当に合う仲間や従業員との出会いが増えるはずです。発信を通じて、そんな出会いと、幸せになる人を増やしたい。人生が輝くきっかけを、つくり続けたいと思っています。

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